介護福祉士実務者研修受講資金貸付制度をわかりやすく説明します

就職・転職

こんにちは、カズヤ(@kazuya_works)です。

この記事ではこんなご相談にお答えします

【Aさん(元会社員で管理職・45歳・男性)】
妻41歳(パート勤務)・長女15歳(中学生)・長男12歳(小学生)の4人家族で生活してるけど、不況・コロナの影響で失業中です。
貯蓄は500万円ほどありますが、住宅ローンも残ってるし、来年は子ども達が中学・高校に入るから、今すぐ働かなきゃいけない状況で、とにかく生活が苦しい状況です。他業種よりも入門しやすいって言われてる介護士に転職しようと考えてます。
とはいえ、介護士のお仕事をはじめるにも実務者研修を受けなきゃいけないし、雇用保険の専門実践教育訓練給付金を使っても最低でも5万円くらいは実費の負担がかかります。金銭的に余裕がないので、介護士をはじめるのに必要な初期費用を、1円でも抑えたいのが正直なところ。何かいい方法はありませんか?

質問の回答(本記事の結論)

  • 介護福祉士実務者研修受講資金貸付制度という仕組みがありまして、実務者研修の受講費用・介護福祉士の受験手数料・参考書などの購入資金として、都道府県が20万円を貸してくれます。

本記事のポイント(目次)

  • 【貸付金額・貸付利子】いくら貸してくれるの?
  • 【対象経費】何に使っていいの?
  • 【借入先・実施主体】誰が貸してくれるの?
  • 【貸付対象者】どんな人に貸してくれるの?
  • 【返還免除・返済免除】どうすれば返さなくて済むの?
  • 【返還・返済】どんなときに返さなきゃいけないの?

ご相談にお答えする私はこんなキャリアです

  • 介護現場での実務経験は14年。
  • 介護福祉士と社会福祉士を所有。
  • 福祉系の大学出身(田園調布学園大学)。
  • 福祉系の大学院出身(東京福祉大学大学院)。
  • 介護業界内での転職経験は2回。
  • 30施設以上で面接(書類選考率100%・内定率80%)。

介護福祉士実務者研修受講資金貸付制度ってなに?

介護福祉士実務者研修受講資金貸付制度ってなに?
この貸付制度は、都道府県の社会福祉協議会に申し込む仕組みですが、国がメインでやってるので、都道府県ごとに、大きな違いはありません。

ただ、本記事の解説は、あくまでベーシックな内容なので、お金を借りる都道府県によって、要件が違う場合もありえます。必ず問い合わせてから、使うか否かを判断してください。

【貸付金額・貸付利子】いくら貸してくれるの?

無利子で20万円(一括入金)です。

【対象経費】何に使っていいの?

介護福祉士を取るために、必要なものならオッケーです。

  • 実務者研修の費用
  • 教科書・テキスト・問題集
  • 文房具
  • 介護福祉士の国家試験の受験手数料
  • 介護福祉士の国家試験対策講座の受講料

一応、「領収書を取っておけ」ってルールはありませんが、領収書が出るものに使った方が、ベターかなと思います。交通費(電車・バス・タクシーなど)はグレーなので、自腹で対応した方が、あとあと面倒ではないかなと思います。

もし、お金を交通費にも使っていいか、気になる方は、借入を予定してる都道府県の社会福祉協議会に、問い合わせてください。

【借入先・実施主体】誰が貸してくれるの?

都道府県の社会福祉協議会から借ります。詳細を聞きたいときは、お住まいの都道府県の社会福祉協議会に、問い合わせる形になります。

ネットから調べるときは、「介護福祉士実務者研修受講資金貸付制度 〇〇(都道府県名)」でググれば、出てきます。申し込みに必要な書類は、都道府県の社会福祉協議会にあることが多いので、申し込むときに、具体的な指示を聞いてください。

【貸付対象者】どんな人に貸してくれるの?

下記の条件をすべてを満たしてる方です。

  • お金を借りる都道府県に住民票がある。
  • 実務者研修を受ける場所が、お金を借りる都道府県にある。
  • 実務者研修の申し込みが済んでる(申し込んでないと貸してくれない)。
  • 連帯保証人を立てることができる。
  • 介護福祉士の国家試験を一発で合格できる。
  • 介護福祉士を取ってから、お金を借りた都道府県で、最低2年(在職期間730日・実働日数360日)以上は、介護のお仕事ができる。

たとえば、「無資格・未経験で神奈川県に住んでる方」の場合は、下記のようなイメージです。

  • 神奈川県に住民票がある。
  • 神奈川県のどこかで実務者研修をうける。
  • 実務者研修の受講申し込みが済んでる。
  • 連帯保証人を立てないといけない。
  • 気合いと根性で介護福祉士の国家試験を一発合格する。
  • 介護福祉士を取ったあと、神奈川県内で、最低2年(在職期間730日・実働日数360日)以上は、介護のお仕事ができる。

【返還免除・返済免除】どうすれば返さなくて済むの?

とくに気になる点だと思いますが、知っておいて欲しいことは、

介護福祉士の受験に必要な実務経験(在職期間1095日・実働日数540日)が足りてるか、足りてないか

これによって返還免除の条件が異なるので要注意です。

実務経験が足りてるとき

下記の条件をすべてクリアすれば、20万円を返さなくて済みます。

  • 介護福祉士の受験に必要な実務経験がある(在職期間1095日・実働日数540日がある)。
  • 実務者研修を終えてから、1年以内に介護福祉士に合格している。
  • 介護福祉士に合格したあと、お金を借りる都道府県で、最低2年以上(在職期間730日・実働日数360日)は、介護のお仕事をしている。

なので、次の期間中は返済を待ってくれます。

  • 実務者研修を終えたあと、
  • 介護福祉士を一発合格して、
  • お金を借りた都道府県で介護のお仕事を2年間やってる。

介護福祉士を一発合格しないと、お金を返さなきゃいけなくなっちゃうので、気合いと根性で頑張りましょう。

ちなみに、実働日数についての補足ですが、

「掛け持ちで、月曜日に介護のお仕事を2カ所でやってる」って場合は、2カ所で働いてても、実働日数は1日でカウントされるので、注意してください。2カ所で働いてるから、2日でカウントはされません。

実務経験が足りてないとき

下記の条件をすべてクリアすれば、20万円を返さなくて済みます。

  • 介護福祉士の受験に必要な実務経験を積み上げる(在職期間1095日・実働日数540日がある)。
  • 介護福祉士の受験に必要な実務経験を満たした日から、1年以内に、介護福祉士に合格している。
  • 介護福祉士に合格したあと、お金を借りる都道府県で、最低2年以上(在職期間730日・実働日数360日)は介護のお仕事をしている。

なので、次の期間中は返済を待ってくれます。

  • 実務者研修を終えて、
  • 実務経験が「在職期間1095日・実働日数540日」を満たして、
  • 介護福祉士を一発合格して、
  • お金を借りた都道府県で、介護のお仕事を2年間やってる。

この場合は、最大で返済を5年間待ってくれますが、介護福祉士は一発合格しないと、お金を返さなきゃいけなくなっちゃうので、気合いと根性で頑張りましょう。

実働日数について、重要なので繰り返しになりますが、

「掛け持ちで、月曜日に介護のお仕事を2カ所でやってる」って場合は、2カ所で働いてても、実働日数は1日でカウントされるので、注意してください。2カ所で働いてるから、2日でカウントはされません。

その他

お金を借りた方が、下記の一つに当てはまるときは、返さなくて済みます。

  • 死亡したとき。
  • 介護のお仕事が原因で、心身に故障をきたして、働けなくなったとき。

【返還・返済】どんなときに返さなきゃいけないの?

下記の条件のいずれかに該当するときは、20万円を返さなきゃいけません。返済方法は一括もしくは分割になりますが、詳細は借入先の社会福祉協議会ごとに違う可能性があるので要確認です。

  • 実務者研修を途中でバックレた(辞めた)とき。
  • 介護福祉士に一発合格できなかったとき。
  • お金を借りた都道府県で、介護のお仕事をしなかったとき。
  • 心身に不調をきたして、実務者研修が続けられなくなったとき(障害を負ってしまった場合は、免除の対象になるかも知れません)。

実務者研修をバックレずにちゃんと受講して、介護福祉士に一発合格して、介護現場で2年間働けば、20万円を返さなくて済むイメージです。

まとめ

この記事のポイントをまとめます。

  • 無利子で20万円(一括入金)借りれる。
  • 使える経費は「実務者研修の費用・教科書・参考書・文房具・介護福祉士の国家試験の受験手数料・介護福祉士の国家試験対策講座の受講料」がメイン。
  • 都道府県の社会福祉協議会から借りる。
  • お金を借りる都道府県に住民票がないと借りれない。
  • 実務者研修を受ける場所が、お金を借りる都道府県にないと借りれない。
  • 実務者研修の申し込みが済んでないと借りれない。(申し込んでないと貸してくれない)。
  • 連帯保証人を立てないと借りれない。
  • 介護福祉士の国家試験を一発で合格しないと返済しなきゃいけない(返済方法は契約時に要確認)。
  • 介護福祉士を取ってから、お金を借りた都道府県で、最低2年(在職期間730日・実働日数360日)以上は介護のお仕事をしないと返済しなきゃいけない。

相談者さんのように失業で金銭的に余裕のない方にとっては、有用な仕組みではないでしょうか。

たしかに、この制度は、介護福祉士の一発合格を大前提としつつ、最低5年は介護のお仕事を続けなきゃいけません。介護福祉士を取るのに実務経験を3年間積み上げて、介護福祉士をとったあと、返済免除の対象期間となる2年間はさらに働かなきゃいけないので、少々ハードルは高いです。

とはいえ、もし介護福祉士の受験に落ちて、20万円を返さなきゃいけなくなったとしても、介護士として払きつつちゃんと貯金していけば、20万円は余裕で返せるんじゃないかなと思います。介護士として働き始めれば、最大でも2か月で回収できます。20万円の投資で年間300万円以上稼げて、食いっぱぐれないスキルが習得できると考えたら、価値のある投資ではないでしょうか。

ということで、おわりです。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました(^-^)

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【参考文献・参考記事】記事を書くのに参考にした情報です

【社会福祉法人千葉県社会福祉協議会】
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