【重要】介護業界でキャリアアップする方法を解説します
どうせはじめるなら、スキルを磨いて、収入も増やしていきたいけど、よくわからない(>_<) 何から手をつけたらいいんだろう…。
質問の回答(本記事の結論)
- 介護のお仕事なら、実務者研修と介護福祉士を取りましょう。
本記事のポイント(目次)
- 介護業界って、ほかにどんなキャリアアップがあるの?
- そもそも、なんで介護業界でキャリアアップしたいのか?
本記事の著者(カズヤ)のバックグラウンド
- 介護の実務は13年以上(介護福祉士・社会福祉士)。
- 福祉系の大学院卒です(社会福祉学修士)。
- 介護業界の転職歴は2回(20施設以上で面接して内定率は80%以上)。
【王道】実務者研修→介護福祉士の順番にキャリアアップする
介護業界のキャリアアップの王道は、1年目で実務者研修をとって、3年後に介護福祉士をとるのが一般的です。
初任者研修→実務者研修→介護福祉士の順に資格をとる
初任者研修ってなに?
- 国家資格ではない(厚生労働省が認可してる民間資格)。
- 研修時間はトータル130時間。
- 介護業界でキャリアを積み上げていくときに、一番はじめに取得する資格。
- 受講料は4~9万円で幅がある。
初任者研修は、「初心者の介護士に向けた入門講座」のような位置づけで、これから介護現場で働くのに必要な知識・技術を学ぶものです。
働ける場所は限られますが、これがなくても介護現場で働けます。
初任者研修があっても介護福祉士は受験できない
将来的に、介護福祉士をとるなら、「実務者研修」の修了が必須です。
残念ながら、初任者研修の修了は、介護福祉士の受験の要件に入ってません。
なので、初任者研修をやらずに、実務者研修を済ませた方が、時間とお金が節約できます。
実務者研修ってなに?
- これを修了してないと介護福祉士が受験できない。
- 研修時間はトータル450時間。
- 受講料は10~20万円で幅がある。
- 教育訓練給付金制度を利用すれば、受講料が安くできるかも。
厚生労働省のサイトに、実務者研修が受講できる養成施設の一覧があるので、自宅に近い養成施設を探して、問い合わせてみるのもアリかと思います。
介護福祉士ってなに?
未経験・無資格で介護福祉士をとりに行く場合は、
- 実務者研修を修了してること。
- 介護現場で「在職期間1095日・実働日数540日」以上あること。
これが必須要件になります。
詳しい情報は、介護福祉士の試験を取りまとめてる「社会福祉振興・試験センター」に書かれてるので、こちらをみて下さい。
介護業界ってほかにどんなキャリアアップがあるの?
ケアマネージャー(介護支援専門員)になる
ケアマネ(介護支援専門員)ってなに?
- サポートするメインの対象者は、自宅で生活してる高齢者。
- 介護保険で利用できるサービスをコーディネートする。
- ケアプランを作成する。
制度的には、ケアマネのお仕事は色々あるので、「もっとあるわ!」とツッコミどころは満載ですが、ものすごくシンプルに、要点だけまとめるとこんな感じです。
ケアマネになるには?
介護福祉士の国家資格をとってから、介護現場での実働日数が900日以上(5年以上)あれば、受験できます。
介護のお仕事をはじめてから、900日以上(5年以上)ではないので、要注意です。
介護福祉士がとれた日から、900日以上(5年以上)です。
「社会福祉振興・試験センター」のページに、ケアマネ受験の情報が載ってます。
ただ、詳細な情報は、各都道府県のページにケアマネの受験案内が載ってます。
ソーシャルワーカー(社会福祉士)を目指す
ソーシャルワーカー(社会福祉士)ってなに?
- サポートできる対象者が高齢者だけじゃなく、「地球に住んでる人」に広がる(冗談ではありません)。
- 「幸せに生きる・幸せに暮らす」をテーマに、個人の生活をサポートする。
- 個人の生活をサポートするための仕組みを、コミュニティのなかでつくる。
ソーシャルワーカーがサポートできる対象者は、本当に地球人です。
高齢者・障害のある方・子育て世帯・刑務所から出たばっかの方・外国人労働者・人種差別に苦しんでる方・女性差別で苦しんでる方など、多岐にわたります。
やりごたえMAXですが、収入増につながりにくい部分はあります。
「介護」ではなく、心から「福祉」にコミットできないと、燃え尽きやすいです。
ソーシャルワーカー(社会福祉士)になるには?
- まず社会福祉士をとる。
- 社会福祉士の受験資格がとれる養成校で勉強する。
ただ、ソーシャルワーカーを目指すには、最低でも福祉系の専門学校(短大)を卒業してるのが条件です。
このあたりのステップになると、お金と時間を投下して、本気で勉強しなきゃいけないので、福祉の業界で生きていくことが前提になります。
介護現場からソーシャルワーカーに転向する場合は、興味本位で中途半端にやると、ヤケドするので、かなり慎重に考えてください。
こちらが、ソーシャルワーカーの受験資格の取得ルートです。
日本のソーシャルワーカー(社会福祉士)を取りまとめてる業界団体のサイト(日本社会福祉士会)も、よかったらチェックしてください。
社会福祉士があるのを前提に書かれてて、もの凄くわかりにくいのですが、「こんなのがあるのね!」程度なノリで、よかったらどうぞ。
援助の対象者を変える
サポートする対象者を、高齢者から「障害のある方・地域に住んでる健康な方・子育て世帯の方・生活に困窮してる方」などに変えて、援助の知識・スキルの幅を広げる形で、キャリアアップを目指します。
たとえば、
- 地域包括支援センターやケアプラザで働く。
- 障害者支援事業に転向する。
- 社会福祉協議会の職員になる。
- 地方自治体の福祉部局の職員になる。
ぶっちゃけ、「老人ホームで高齢者を介護する」だけだと、学べるものは「その界隈でしか使えない・応用できない知識・スキル」に留まります。
高齢者介護の知識・スキルを深めても、知識・スキルが縦に深くなるだけで、横には広がりません。
福祉・介護の業界で自分の可能性を全力で試したい方は、生活と収入との相談にはなりますが、数年スパンで、援助の対象者を変えて、知識・スキルの幅を横に広げていくのが、おすすめです。
看護師・理学療法士・作業療法士・保育士などを目指す
これは、「やることを変える」ってパターンのキャリアアップです。
たとえば、
- 介護福祉士 = 生活面のサポート
- 看護師 = 医療や健康のサポート
- 理学療法士 = リハビリ面でのサポート
- 保育士 = 子どものサポート
などなど、色々あります。
職種を変えると、サポートする対象者を観察するときの「視点(利用者さんを見るポイント)」が、大きく変わりますし、関わり方も変わります。
もちろん、収入も変わります。
興味があったら、こんな感じのキャリアアップもあります。
介護現場で管理職(リーダー・主任・施設長)を目指す
このあたりは、同じ現場で働き続けることが大前提なので、狭き門かも知れません。
ところてん方式で、役職者が会社を辞めて、はじめてポストがあくので、イス取りゲームだったりします。
これは、介護現場のリーダー・主任・施設長など、いずれの役職でも共通です。
積極的に、事業拡大してる事業所は別なので、役職のポストに食い込める確率はあがります。
このステップアップは、ひとつの職場で、転職せず、腰を据えてじっくり働きたい方が向いてるかもです。
一方で、世間体では、「介護現場で出世するのが正義」って考えられがちですが、まったくそんなことはありません。
もちろん、収入との相談になりますが、出世しなくても、福祉・介護の業界で挑戦できることはたくさんあります。
福祉・介護の教育者を目指す
福祉系の専門学校や大学で、ちらほら定員割れを起こしてるので、これも狭き門です。
働く場所は、「初任者研修の養成校・実務者研修の養成校・専門学校・大学」が王道です。
福祉・介護の教育者になるには?
- 大学で「福祉の先生になるコース」を履修する。
- 修士号をとって、福祉系の専門学校に応募しまくる。
- 博士号をとって、論文を書きまくって、大学の先生になる。
とにかく、スーパーハードです。
休日返上で頑張っても、実現できるか、わからないレベルです。
私は、このパターンを狙って10年ほどがんばりましたが、これ以上やったら、投下した時間と費用が回収できなくなると判断して、2019年にいったん手放しました。
福祉・介護の業界で起業・独立する(経営者・フリーランス)
このレベルは、福祉・介護の業界の構造や問題、ビジネスなど、色んな知識がないとできないステップです。
どんなビジネスがあるの?
- 介護施設を経営する。
- NPOを立ち上げて、福祉問題に立ち向かう。
- 社会福祉士事務所をフリーランス経営する。
- 福祉系のブロガーやユーチューバーになる。
このあたりが王道だと思います。
まぁ~どれをとってもスーパーハードです。
何もしないで、成しえようとする方が、あり得ない次元ですね。
このあたりに興味があったら、この界隈でTwitter発信してる方が多いので、気になる方をフォローしておくのが、ファーストステップですね。
福祉・介護の研究者を目指す
福祉・介護の研究者は、コスパが悪いので、「自分の福祉観・介護観を突き詰めて、後世に繋いでいこう」ってレベルのマインドじゃないと、できません。
福祉・介護の研究者になるには?
- 博士号(社会福祉学の博士号)をとる。
- 学会で発表しまくる(最低でも1年に1回)。
- 自分の論文を論文誌に掲載しまくる(1年に1本は欲しい)。
- 英語が読めて、英語で論文がかけたら最高。
- 募集してる大学で面接しまくる。
勉強が大嫌いな人からすれば、もはや異次元です(笑)。
ぶっちゃけ、福祉・介護の研究をするのは、50~60歳からでいいと思います。
色んなことに挑戦して、ムリがきく20代を研究に注ぐと、機動力に欠けます。
20代で研究に挑戦するくらいなら、ガシガシ現場にでまくって、困ってる人とたくさん触れ合って、現場で自分の感性を磨きまくった方が、将来に活きます。
そもそも、なんで介護業界でキャリアアップしたいのか?
そもそも論として、なんで介護業界でキャリアアップをしたいと考えてますか?
あなたは、どうして行きたいですか?
キャリアアップを考えるときの大前提です。
ここが曖昧だと、軸がないので、進む方向が定まりません。
進む方向が定まらないので、何から手をつけたらいいのか、見つけ出せません。
たとえば、
- とことん介護のスキルを極めたい。
- 介護業界で収入を増やしていきたい。
- 福祉の業界に幅を広げて、自分の可能性を試したい。
これだけでも、進む方向とやることは、大きく変わってきます。
介護のスキルを極めるなら、認定介護福祉士や認知症ケア専門士など、あなたの介護の専門性を深めることに、お金と時間を投下するのが、ベストでしょう。
介護業界で収入を増やすなら、おおかた起業の方向に進むと思いますが、起業にお金を時間を投下するのがベストでしょう。
介護業界から福祉業界へ幅を広げるなら、社会福祉士をとったり、介護以外の福祉領域でスキルを磨くのに、お金と時間を投下するのが、ベストでしょう。
キャリアアップの道はたくさんありますが、お金と時間は有限です。
お金と時間を意識しつつ、色々とチャレンジして、心を動かされたものに、全力を注ぐのが、ベストだと思います。
どんな問題に向き合いたいのか?
ほかの業界でもそうだし、福祉・介護の業界でも同じですが、「どんな問題を解決していきたいのか?」を考えるのが本質です。
この視点で、介護業界を考えると、「これまでやれてたことが、できなくなってしまった」という問題に対して、「介護」というスキルで、解決してるイメージです。
なので、「どんな問題に向き合いたいのか」をあなたの中から、掘り起こさなければ、いけません。
たとえば、
- ひとり暮らしをしてる高齢者が心配だ。
- 障害のある方の「働きたい」とサポートしたい。
- ホームレスの自立をサポートしたい。
- 子どもの孤独の解消をサポートしたい。
色々あります。
こんな感じで、あなたの関心に触れる問題を、掘り起こしてみましょう。
でも、「やりたいこと」と収入を両立させることが、難しい場合があります。
この場合は、自己犠牲にして頑張ることだけは、絶対にしないでください。
あなたが消耗することを望んでる人は、誰一人としていません。
休日とかを使って、関心のある問題に、関われる範囲で関り続けて、情報とノウハウを蓄積するって選択肢もあります。
繰り返しますが、くれぐれも自己犠牲だけは辞めてください。
まとめ
あなたの年齢・体力・生活環境にもよりますが、上記のキャリアから、「やれそうなもの」「挑戦してみたいもの」を、時間かけて1個じゃなくて、何個もやってみるとかでもアリです。
私の場合は、
- 地域福祉の世界に挑戦しようとした。
- 介護現場で管理職を目指していた。
- 研究者を目指している。
こんな感じで、キャリアアップをもくろんで、色々と努力を積み上げてきました。
たくさん失敗もしましたし、たくさん挫折もしてきました。
色々と考えた結果、研究者以外の道は削りました。
今は、介護現場で働きつつ、仕事の合間にブログで生活費を稼ぎつつ、研究者を目指す感じで、今は落ち着いてます。
やらずして、自分で道を閉ざすと、後悔しか残りません。
やるだけやってみて、「あっ!ワタシ的にこれ違うわ!」って気付けば、別の道を探って、新しく挑戦したらいいと思います。
つまるとこ、介護のお仕事をしながら、ネットで情報を集めたり、本を読んで学びを深めたり、ほかの福祉・介護の現場を見学して体験したりして、知見を深めたうえで、あなたの年齢・体力・生活環境に合うキャリアを築けば、いいと思います。
よく「キャリアアップ=福祉・介護の現場で働く・お給料をもらう・役職ついて偉くなる」って聞きますけど、そんなことはまったくありません。
お仕事が休みの日に、ホームレス向けの炊き出しに参加したり、子ども食堂のお手伝いをしたり、これも立派なキャリアになりますから。
一度きりの人生です。
興味あることだけやって、楽しくすごして行きましょう(^-^)
以上で、本記事はおわりです。
疑問・悩み・相談があれば、ツイッターの@kazuya_worksにDMください!
あなたの介護士ライフを応援しています。
読んでいただき、ありがとうございました(^-^)
参考文献・参考記事
この記事を書くときに、参考にした情報です。
【厚生労働省】
介護福祉士養成施設等における「医療的ケアの教育及び実務者研修関係」
【厚生労働省】
第3回 福祉人材確保対策検討会
第4回 福祉人材確保対策検討会